monparis's blog

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主にフランス語学習と読書について書いてます

カミュのペストでタルーがつけていた手帳に何が書いてあったか

Eテレの番組がきっかけとなり、カミュのペストをフランス語で読み返している。4回中2回の放送が終わったところだ。ユーチューブでも動画が出回っているので興味のある方は探して見てください。

monparis.hatenablog.com

  

不条理や物語の解説は専門家にお任せして、私はフランス語の一学習者としてトリビアというか、話の大筋に関係ないところを紹介したいと思います。

 
主要人物の1人である旅行者のタルーは謎多き人ですが、彼がつけているメモには本筋とは関係ない面白いことが書かれています。

 

ツバ吐きじいさん

 タルーが住んでるホテルの部屋から向かいのバルコニーが見える。

そこに昼下がり現れるun petit vieux (じいさん)。そのじいさんはミュウミュウと優しい声でネコをおびき寄せてはつばを引っかけてよろこんでいるのだ。なんて事するの!と猫好きの人は憤慨しそうだけれど、タルーもちょっとそれを面白く感じていてこの老人の様子を手帳に書いている。

 

この引用部分は直接タルーのノートからではないけれどこんな感じだ。

Le petit vieux crachait alors sur les chats avec force et
précision. Si l'un des crachats atteignait son but, il riait.

医師リウーのくせ

年の頃は35歳ぐらい、中背で…とまず風貌を描写した後、動きについても触れている。

引用するとこうだ。

Il marche vite. Il descend les trottoirs sans changer son allure, mais deux fois sur trois remonte sur le trottoir opposé en faisant un léger saut. Il est distrait au volant de son auto et laisse souvent ses flèches de direction levées,meme après qu’il a effectue son tournant. 

 

見た目よりも、その人のクセの方が印象に残るというか、その人を特徴付けることがある。リユーは「時々、上の空で車のウィンカーを消し忘れることがある人」なのだ。ボーとしてるのは、医師という職業上、考えることが多いのか、療養中の奥さんのことを案じているのか理由はわからないけれど。

 

 

時間を長く感じる方法

時間に関するこんな自問自答も。

Question: Comment faire pour ne pas perdre son temps?

           (問い:時間をむだにしないためにはどうすべきか)

Réponse: l’eprouver dans toute sa longueur.

           (答え:その長さを味わいつくすこと)

具体的方法として5つあげている。そのうちの1つ

écouter des conférences dans une langue qu’on ne comprend pas. 

            (自分には理解できない言語で講演をきくこと)


私もあるある、フランス語で長~い講演を聞いたことが。

タルーは皮肉屋さんなんでしょうか。

 

以上、本筋とは関係ないところの小さなエピソードをご紹介しました。