SF食わず嫌いがはまった本
もうSFファンならクラシックでしょう。
しかし、わたしは本は好きでも読むのは海外文学が多く、SFというジャンルには長年無縁だったのです。SFというと思い浮かぶのは火星人、まさにブラッドベリの本の題名そのまま。しかも、そのイメージはネガティブなのです。子供が夢中で見ているTVの怪獣ものと同じくくりで私はSFを捉えていたのです。火星人という架空の生き物を作り出して面白がってる、なんて子供なのと。
それがなぜ読むことになったか。
私には本好きな知り合いがいました。彼はことあるごとに本を勧めてくれるのですが、それが大抵ミステリーかSFなのです。気は進まないものの、あまりにも熱く語られると読んでみようかなと思って買うのですが、そのまま積読本になってしまう。
人生の半ば、お金はないが暇はあるという時期が突然訪れ、私はそれまでの積読本をかたっぱしから読むことにしたのです。その中の一冊がこの「火星年代記」です。
もう、ぶったまげました。
ずっと「火星人の話」として本棚の片隅に追いやっていたこの本に夢中になり、読み出すと止まらず、とうとうお風呂にまで持ち込んで読んだのです。
これに味をしめ、その後同じ作者の「華氏451度」やヴォネガットの「スローターハウス5」、オーウェルの「1984年」など有名な作品を次々と読むことに。ハインラインの「夏への扉」は期待値が高かったのか、それほど良いとは思いませんでした。でもタイトルが素晴らしい。夏休みに読みたいSFベスト10に入れたい。
なんだ、SFって架空の物語の形を借りた現実の話、だったのだ。
何かを批判したり風刺したりするときに直接攻撃するのは避けたい、そんな時に便利なのがSFなのだった。または、近未来こんな世界が訪れるかも、夢じゃなくってありうる~、と思わせるストーリーなのだ。
1999年1月から2026年10月までの火星におけるクロニクルなのだけれど、新しい版は日付が未来にアップデートされている。
食わず嫌いしてるジャンルがあったら、まず食ってみろというお話でした。
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その他
スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302)