伊藤比呂美さんの作品を初めて読んだのは家族の介護中だった。
「父の生きる」、世に介護手記はたくさんあれど、読んだ中で私はこれが一番好きだ。
家族の生死がかかるとどうしても必死になってしまう。
なんとかして助けたいし守りたいと思う。
でもそれが共倒れにつながることがある。
介護の先輩として、この人の肩から力が抜けた感じに救われた。要介護者を見捨てるでもなく、自分の人生を全て犠牲にするでもない中道をいくところに。
その後、彼女の作品をいくつか読んだ。
そしてこの最新作で、ご両親に続き旦那さんも看取られた話をされている。
そうなのか、そうなんだ。と思いながら前を行く人の経験談として読ませていただいた。