フランス語で読む村上春樹
留学中に既読の日本の小説やエッセイをフランス語で読むーという勉強法を試したことがあります。
フランスの小説を原語で読むときは、ひたすら理解することにエネルギーを使いますが、これだと日本語で読んでるので内容は知っているのです。なので、興味はもっぱら「これをフランス語でどう表現しているか?」になります。これが結構おもしろいんです。
パリの大きな本屋さん(FNACとかGibert Joseph)の外国語文学コーナーに行くとアジアコーナーがありそこに日本の作家の翻訳本が並んでいます。当然、フランス人に需要のある作品が翻訳されているわけで、日本での評価とは必ずしも一致しません。ダントツに目立っているのは、予想できるかと思いますが村上春樹氏です。あとは夏目漱石、三島由紀夫のような文豪ですね。
白状すると私は春樹氏の小説を一冊も読んでません。
「ノルウェイの森」も「1Q84」も「海辺のカフカ」も読んでない。
かといってアンチというわけでもない。エッセイや紀行文ばかり5冊くらい読みましたから。
私が買ったのはそのうちの一冊で、「走ることについて語るときに僕の語ること」のフランス語版です。
この本で村上氏はずっと続けているランニングやマラソンのこと、それが自分の作家生活をどう支えているかを語るのです。まぁ、題名そのままですね。
前書きはこう始まる
真の紳士は、別れた女と、払った税金の話はしないという金言があるーというのは真っ赤な嘘だ。
フランス語ではこう表現されています。
Un aphorisme pretend qu’un vrai gentleman ne dit pas un mot des femmes avec qui il a rompu ou des impôts qu’il doit payer. Faux, archifaux!
そして続く、
Parce que moi, désolé, je ne suis pas comme ca.
うーん、村上春樹氏の口から”Je ne suis pas comme ca”というフランス語が出てくる様子を想像すると不思議な感じがします。英語なら違和感ないんですけど。翻訳もされてますし。自分で書いたわけでもないのにちょっとこっぱずかしいというか。あくまで私個人の感想ですけどね。
ジュヌスイパコムサ ですよ!
ハルキファンならこれっていう作品や主人公があるでしょうから、その人物になりきってセリフを覚えるっていうのはいかがです?
村上春樹に限らず、お気に入りの作家の本がフランス語に翻訳されていたらラッキーです。それを繰り返し読むことによってフランス語の多くを学べます。とてもお勧めの勉強法です。
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