フランス語で読む赤ずきんちゃん
パリで通った語学学校で読んだシャルル・ペローの寓話。
Le Petit Chaperon rouge はおなじみの「赤ずきん」だ。
写真右はドレの挿絵で左は「リサとガスパール」や「ペネロペ」の絵でよく知られているハレンスレーベン氏のイラストによる。
知ってる知ってる、子供の時に読んだからフランス語でも簡単と思った私。
しかーし、ラストが違う!
わたしはショックのあまり叫んだ。
Mais, ce n’est pas vrai!
(それは違う)
先生が怪訝な顔できく。
Pourquoi?
なぜって、わたしが子供の頃読んだ話では、狼に食べられたおばあさんと赤ずきんちゃんは、最後猟師に助けられるのだ。決して狼に食われましたとさ、お・し・ま・い、な話ではない。
幼い頃の思い出を傷つけられた私は食い下がる。
C’est impossible! (ありえない)
Ce n’est pas le chaperon rouge que je connais.
(これは私の知っている赤ずきんじゃない)
Elle a été sauvée par un chasseur.(赤ずきんは猟師に助けられた)
ははん、そのことかというように先生は説明した。
Il existe plusieurs versions.
(この物語にはいくつかのヴァージョンが存在する)
日本でも大人用に「残酷なグリム童話」という題名の本があったかと思うけど、これはフランスで普通に子供用として売られている絵本なのだ。
物語の最後、Moralitéと題して教訓が述べられている。
「このお話から私たちは、子供たち、特に優しくてかわいい少女たちが誰彼かまわず人の言うことを聞くことの誤りに気づく。」
わたしはこの歳になって気がついた。
いかに日本という国が子供を残酷な現実から隔離しているかを。子供時代、 テレビや絵本で見たり読んだりしたあのストーリーたちはなんなのだ?最後はハッピーエンドでなければならない。悪人は最後罰せられなければならない。
現実は違う、ということを子供の頃から教えるフランスであった。